3 矛盾⑥:千葉大学保存株(IM62222)との一致が意味すること
吉成文献の系統解析(Figure 5)では、大阪工場・和歌山工場から採取された株と、千葉大学医真菌研究センターの保存株IFM 68223が同一クレードに属することが示されている。IFM 68223はFig.5の系統樹に「lung specimen in Japan」と記載されたヒト肺由来の研究株であり、吉成文献p.304に「purchased from Medical Mycology Research Center of Chiba University」と明記されている。
「偶発的な環境汚染」であれば、離れた二つの工場に同じ特定株が独立して混入したことを説明しなければならない。吉成文献はこの点について「汚染経路の特定は困難(it is difficult to determine the contamination route)」と述べるにとどまり、説明を回避している。
しかし、大阪工場から和歌山工場への製造設備移転(2023年12月)という事実を考慮すれば、移転した設備に菌株が付着していた可能性も一つの仮説として考えられる。いずれにせよ、「それぞれの工場に独立して環境から偶発的に混入した」という説明は、系統的同一性という事実と両立しない。