
株式会社帝国データバンクは、出版業の業績動向について調査・分析を行った。
出版業界の経営環境は、深刻さを増している
全国出版協会・出版科学研究所によると、2023年の紙と電子を合わせた出版物推定販売金額は1兆5,963億円(前年比2.1%減)で、2年連続の前年割れとなった。
なお、2024年上半期も7,902億円(前年同期比1.5%減)にとどまった。
出版業界の売り上げは、1996年まで拡大基調で推移していたが、1997年の消費税率引き上げ(3%→5%)により初の前年割れを記録し、その後はインターネットの普及や活字離れ、少子高齢化などにより縮小が続いており、出版業界の経営環境は深刻さを増している。
2023年度決算の損益状況が判明した出版社675社を分析すると、36.6%にあたる247社が「赤字」となり、構成比は過去20年で最大となった。さらに、前年度から「減益」(29.5%)となった企業を合わせた「業績悪化」の割合は66.1%に達し、過去最大を記録した。
コロナ禍での巣ごもり需要により、電子書籍などのデジタルコンテンツ需要が拡大したものの、書店での販売部数の減少を補うまでには至らなかった。
(坂土直隆)