
東京商工リサーチ(TSR)は、2025年上半期(1-6月)の倒産で、破産の構成比が90.3%に達したと発表した。
同社は、1952年に国内で初めて倒産集計を開始した。過去を振り返ると、2004年上半期までは、取引停止処分の構成比が破産を上回っていた。
30年前の1996年上半期の倒産7,270件のうち、取引停止処分は6,277件と86.3%で、破産は692件と9.5%に過ぎなかったという。また、民事再生法はわずか2.2%にとどまった。
破産は、売上不振や財務内容が悪化し、再建が見通せない企業が選択する方法。同社の調査員によると、30年間は「破産はレアケースだった」という。
ところが、少額破産の手続きコスト低減への取り組みが広がったことや、手形に拠らない商取引慣行の浸透などから、2005年上半期に破産の構成比が取引停止処分を抜いた。その後も、破産の構成比は上昇し、2015年上半期に8割、2023年上半期には9割を超えている。
なお、紙の手形は2026年度に廃止される予定で、そのために、取引停止処分による倒産が今後も小康状態が続くと、同社は予測している。
(坂土直隆)